瓦礫の中の命を救う“小さな探査者”――最先端科学が切り拓く未来
巨大地震などの災害現場では、瓦礫の奥深くに取り残された人へ迅速にアクセスすることが大きな課題となります。今回、本校で実施された特別講義では、シンガポールのNanyang Technological University(NTU)のHirotaka Sato教授より、昆虫と電子技術を融合した「サイボーグ昆虫」の研究についてご紹介いただきました。
講義では、小型昆虫に超小型コンピュータやセンサーを搭載し、人が入り込めない狭い空間で情報収集を行う研究について説明がありました。将来的には、災害救助やインフラ点検などへの応用が期待されています。
佐藤先生がこの研究を志した背景には、2011年の東日本大震災での経験があります。災害現場では、既存のロボット技術だけでは対応が難しい場面も多く、生物が本来持つ優れた移動能力に着目したことが、現在の研究につながったそうです。
また、アメリカでの研究生活では、限られた時間や厳しい環境の中で試行錯誤を重ねながら研究を進めた経験についても語られました。昆虫の行動を制御するという20年前には前例がないテーマに挑戦する中で、当時の周囲からは「そんなことができるわけがない」と言われながら、ご自身は「理論上は可能であり、自分と仲間にはそのための十分な技術があるのだから、決断して行動すればできる」と行動の重要性を、生徒たちへ力強く伝えてくださいました。
講義の中で特に印象的だったのは、
「人を救う技術にするために日夜頑張っているうちの学生や研究員がいれば必ず成し遂げる自信がある。彼らが最善を尽くせる環境を提供することが私の使命」
というメッセージです。
数学や物理を世界共通の言語として活用しながら、国境を越えて研究に挑戦する姿は、生徒たちにとって大きな刺激となりました。
今回の講義は、最先端科学に触れるだけでなく、自ら問いをもち、挑戦していく姿勢について考える貴重な機会となりました。
今回の特別講義は、早稲田大学とのご縁をきっかけに実現しました。
本校では今後も、多様な分野で活躍する方々との出会いを通じて、生徒たちが視野を広げ、未来に向かって挑戦する力を育んでまいります。
Professor Hirotaka Sato Group Website:
https://hirosatontu.wordpress.com/